世界のちょっと変な国境線5選|地図をのぞくと見えてくる意外なストーリー

世界地図を見ると、国と国の境目は「まっすぐな線」に見えがちです。
でも、実際の国境線はもっと複雑で、ときには「そんな引き方ありなの?」と思うような形をしています。

この記事では、世界の「変わった国境線」と、そこに隠れているストーリーを5つ紹介します。
家の中を通る国境線、1歩で「昨日」と「明日」をまたげる場所、建物の床に引かれた国境線など、ちょっと人に話したくなるネタばかりです。

読み終わるころには、いつもの地図アプリを見る目が少し変わるはずです。
通勤中や寝る前のスマホ時間に、地理好きじゃなくても楽しめる「世界の境目の不思議」を一緒にのぞいてみませんか?

世界の国境線は意外と「ゆるい」し「ぐちゃぐちゃ」

国境というと、鉄条網やがっちりしたイメージを持つかもしれません。
しかし実際には、道路に印がついているだけ、建物の中を何気なく通っているだけ、という場所もたくさんあります。

歴史的な条約や、昔の領主どうしの取り決め、地元住民の事情などが複雑に重なった結果、
・「国の中に別の国がポツンとある」
・「1つの村が2つの国に分かれている」
といった“パズルのような国境線”が生まれました。

この記事で紹介する場所は、観光スポットになっているところも多く、
「地図好きの聖地」「国境マニアが一度は行きたい場所」などとも呼ばれています。
あなたなら、どの国境に一度行ってみたいですか?

家の床を横切る国境線|オランダとベルギーのバーリ

白い十字マークが並ぶ「国境だらけの街」

オランダとベルギーの国境付近に、「バーリ(Baarle)」という不思議な街があります。
ここには、ベルギー領バーリ=ヘルトフと、オランダ領バーリ=ナッサウという2つの自治体が入り組んで存在しています。

この街の特徴は、「飛び地(とびち)」だらけなこと。
ベルギー側の小さな領土がオランダ側の中にポツポツと島のように点在し、
さらにその中に、オランダの小さな飛び地が入り込んでいたりします。
全部で約30個の飛び地があり、世界の飛び地のうち、ほぼ半分がここに集まっているともいわれます。(ウィキペディア)

街の中を歩くと、道路や歩道に白い十字のマークが並び、その線が国境を示しています。
お店の前やカフェのテラス席の真ん中を、国境線がジグザグに走っている光景はとてもユニークです。

もしあなたの自宅のリビングのど真ん中に国境線があったら、どんな気分になるでしょうか?

玄関はどっちの国?住所で決まる不思議ルール

バーリでは、1つの家が「半分ベルギー、半分オランダ」になっていることもあります。
この場合、その家がどちらの国の法律にしたがうかは、「玄関がどちら側にあるか」で決まるとされています。

玄関の左右に、それぞれの国の国旗や住所プレートがついている家もあり、
「今日はベルギー側のドアから出てみようかな」なんて冗談を言いたくなるような光景です。

中世の領主どうしの土地のやり取りがゴチャゴチャした結果、
近代になって国境線を整理しようとしたときでも、
「じゃあ昔どおりでいいか」と細かく線を引き直していったことで、
このパズルのような国境が生まれたとされています。

【一言メモ】
バーリの観光マップには、国境線が細かく書き込まれていて、
「今日だけは国境越えを何十回も体験できる街歩き」が楽しめます。

たった4kmで約21時間の時差|アメリカとロシアのディオメード諸島

物理的にはすぐそこ、時間的には「ほぼ1日後」

アラスカとロシアの間、ベーリング海峡に浮かぶ2つの小さな島があります。
西側の「ビッグ・ディオメード島(ロシア領)」と、東側の「リトル・ディオメード島(アメリカ領)」です。

2つの島の距離はわずか約3.8km。
しかしこの間に「国境」と「日付変更線」が通っているため、
物理的には近くても、時間的には最大で約21時間の時差が生じます。(ウィキペディア)

そのため、ビッグ・ディオメード島は「トゥモロー・アイランド(明日の島)」、
リトル・ディオメード島は「イエスタデー・アイランド(昨日の島)」というニックネームでも知られています。

もし氷の上を歩いて渡れたとしたら、
「数キロ歩いただけで昨日に戻る/明日に行く」という、
SFのような“時間旅行”ができるわけです。
あなたなら、昨日に戻りたいですか?それとも、明日を先取りしてみたいですか?

昔は氷の上を行き来していた

現在、この2つの島の間を自由に行き来することは認められていません。
しかし、かつては冬になると海が凍り、
地元の先住民が氷上を渡って行き来していた時期もあったといわれます。

冷戦期にはこの海峡が「アメリカとソ連の最前線」とも呼ばれ、
今でも軍事的に敏感な場所とされています。

【一言メモ】
地図アプリを最大まで拡大してみると、
「国境線」と「日付変更線」がほぼ同じ場所を走っていることが確認できます。
暇つぶしに一度チェックしてみてください。

国の中に国、その中にまた別の国|オマーンのマドハとナフワ

オマーン領の中にUAE領、その中にまたUAEの飛び地

アラビア半島にあるオマーンとアラブ首長国連邦(UAE)の国境付近には、
地図好きが興奮する“入れ子構造”の国境があります。

そこにあるのが、オマーンのマドハ(Madha)という地域です。
マドハは、オマーン本土から離れた「飛び地」になっており、
周囲をぐるりとUAEに囲まれています。

さらにややこしいのは、そのマドハの中に「ナフワ(Nahwa)」という村があり、
ここは逆にUAE(シャルジャ首長国)側の飛び地になっていることです。(ウィキペディア)

つまり、
オマーン本国 → UAE → オマーンの飛び地マドハ → UAEの飛び地ナフワ
という、マトリョーシカ人形のような構造になっています。

生活は意外とふつう。でも国境マニアには聖地

とはいえ、現地の人々の生活はきわめて「ふつう」です。
マドハに入る道路には国境施設らしいゲートもほとんどなく、
行き来は比較的ゆるやかだとされています。(ウィキペディア)

ただし、地図マニアや国境好きにとっては、ここは「絶対に行きたい場所」の1つ。
「たった数分ドライブしただけで、国籍表示がオマーン→UAE→オマーン→UAEと何度も変わる」
という、ちょっとした“国チェッカー遊び”ができるからです。

【一言メモ】
もし将来このあたりに旅行する機会があったら、
オフライン地図アプリで自分の現在地を見ながらドライブしてみると、
国境線の入り組み方がよくわかって面白いはずです。

建物の床に引かれた国境線|アメリカとカナダのハスケル図書館

1つの図書館で2つの国にまたがる

アメリカ・バーモント州のダービー・ラインと、
カナダ・ケベック州スタンステッドのあいだには、
「ハスケル・フリー・ライブラリー&オペラハウス(ハスケル図書館)」という建物があります。

この建物は、わざと国境線の上に建てられており、
・玄関はアメリカ側
・閲覧室や舞台の一部はカナダ側
という、面白いつくりになっています。(ウィキペディア)

図書館の床には、黒い線で国境が引かれていて、
「今、右足はアメリカ、左足はカナダ」という状態も簡単に体験できます。

地元では、家族や友人が国境を挟んで気軽に会える場所としても親しまれてきました。
あなたなら、この図書館でどちら側のイスに座って本を読みたいですか?

「友情の象徴」から「国境管理の象徴」へ

ハスケル図書館は、20世紀初頭に
「2つの国の人が一緒に文化を楽しめる場所を作ろう」という思いで建てられました。(ウィキペディア)

しかし近年は、国境管理の強化にともない、
アメリカ側の入口からカナダ人が自由に出入りしにくくなるなど、
象徴的な場所が国際政治の影響を受ける例としても注目されています。(Reuters)

【一言メモ】
図書館の公式サイトには、
「どちらの国から訪れる人も歓迎します」というメッセージが掲げられており、
国境を越えた文化交流の大切さを今でも伝え続けています。

まとめ|地図をズームすると、世界の見え方が変わる

今回は、世界の「変わった国境線」として、

  • 家や道路の中をジグザグに走るバーリの国境線
  • 数キロの距離で約21時間の時差が生まれるディオメード諸島
  • 国→別の国→また別の国と入れ子になったマドハとナフワ
  • 図書館の床を横切る、ハスケル図書館の国境線

といった、4つの事例を紹介しました。

どの場所も、ただ「線が変な形をしている」だけではなく、
歴史的な背景や、住民の暮らし、国どうしの関係といったストーリーが隠れています。

日常生活では、国境を意識することはあまりないかもしれません。
しかし、地図アプリを少しズームしたり、こうしたエピソードを知ったりするだけで、
世界がぐっと立体的に感じられるはずです。

明日の休憩時間や飲み会のネタとして、
「実は、アメリカとロシアってたった数キロしか離れてない島があるんだよ」
「家の中を国境線が通っている街があってさ」
と、ぜひ誰かに話してみてください。

あなたが次に世界地図を見るとき、
そこに引かれた細い線の向こう側にも、
たくさんの人の暮らしと物語があることを、ふと思い出してもらえたらうれしいです。

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